母体保護法指定医・日本産婦人科学会専門医
WHO/ユニセフ 赤ちゃんにやさしい病院

スタッフブログ

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2020年07月18日

災害時の授乳について

 

この度の豪雨で被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。また、復興にご尽力されていらっしゃる皆様には、どうか安全に留意されてご活躍されることをお祈り致します。

 

離れてはおりますが、当院からも何かお手伝いできることはないかと、災害時の授乳・育児に関しての情報をお届けできたらと思い、ブログを更新します。

 

母乳だけの方、ミルクも併用していらっしゃる方、ミルクのみの方、さまざまおられますでしょうけれど、このような環境の中で、適切な栄養を適切な方法で与えられ、育児を遂行されることを願っております。過去に熊本地震を経験した際も、母乳育児に助けられたお母さんや赤ちゃんがたくさんいらっしゃいました。このような災害で起こりやすい問題や解決策をご紹介します。

 

「母乳が出なくなってしまうのではないか」というご心配は無用です!! 赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって母乳は作り出され続けるので、ストレスとは関係なくおっぱいは出ますよ!また、とりあえずはお母さんが十分な栄養をとれなくてもおっぱいは出ますが、できれば十分なお食事と水分はとれるようにしたいです。

 

確かに、赤ちゃんにおっぱいを与えている様子が見えないようにしたい方々が増えている時代、被災されている環境でリラックスした状況をつくることは難しいと思いますが、少しでも赤ちゃんとゆったりと授乳に集中できる時間や環境を整えてもらえるように、周囲の方にご協力をお願いしましょう。そして、当然そのような環境の方が心安まりますが、本来、授乳は恥ずかしいことではなく、微笑ましいもの、勇気を持って授乳されてください!

 

以上、普段から母乳のお母さんは安心して母乳育児を続けてください。こんな時こそ母乳育児は最大の力を発揮します。母乳中の豊富な免疫成分が赤ちゃんを守ってくれます。

 

ミルク併用のお母さんは、むしろ母乳を作り出すチャンスになるかもです。おっぱいは吸わせれば出るようになるので、人工乳を与える事が減った状態であれば、おっぱいを吸わせる回数を増やしてみてください。逆に、母乳不足感から人工乳の回数や量を増やすと、更におっぱいは出なくなっていきます。

搾母乳や人工乳を上げているお母さんは、哺乳瓶の消毒やおきれいな湯が用意できないと、感染のリスクが上がるため、災害時は紙コップでの授乳が便利です。一見難しそうですが案外上手に飲んでくれますよ!人工乳の調乳は70℃以上のお湯で行うことです。低い温度では殺菌できません。液体ミルクが便利ですが、高い気温の下で放置しないようにしてください。搾母乳は、できることなら人肌ほどのぬるま湯で温めましょう。搾母乳は常温でも半日以上腐ったりしません。

スタッフ一同

 

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